歯周病について知ってほしい! 第25号  歯ぐきから血が出るのに、痛くないのはなぜ?|歯周病との関係と受診の目安 - 武蔵小山 よしだ歯科クリニック|痛みの少ない丁寧な治療

「歯みがきをすると歯ぐきから血が出る」

「フロスをすると血がつく」

「でも、痛みはまったくない」

このような経験はありませんか?

歯ぐきから血が出ると「歯周病かな?」と心配になる一方で、**痛くないなら大丈夫なのでは?**と思ってしまう方も少なくありません。

しかし、これは注意が必要です。

歯ぐきからの出血は、歯ぐきに炎症が起きているサインの一つです。そして、歯肉炎や歯周炎では、出血していても痛みをほとんど感じないことがあります。

つまり、

「痛くないから大丈夫」ではありません。

では、なぜ歯ぐきから血が出るのに痛くないのでしょうか?

今回は、歯周病との関係だけでなく、歯ぐきから出血するその他の原因や、歯科医院で確認するポイントまで詳しく解説します。


歯ぐきから血が出るのに、なぜ痛くないの?

まず知っておきたいのは、歯肉炎では「出血はするけれど痛くない」という状態が珍しくないということです。

歯と歯ぐきの境目にプラークがたまると、細菌によって歯ぐきに炎症が起こります。

炎症を起こした歯ぐきは、充血し健康な状態よりも出血しやすくなります。

一方で、単純な歯肉炎では痛みが通常みられないとされています。

そのため、

歯みがき → 血が出る → でも痛くない

という状態が続くことがあります。

ここで「痛くないから問題ない」と考えてしまうことが、歯周病を見逃すきっかけになることがあります。


歯ぐきから血が出る主な原因

歯ぐきからの出血は、歯周病だけが原因とは限りません。

主な原因を見ていきましょう。

① 歯肉炎・歯周炎による炎症

最も一般的に考えられるのが、プラークによる歯ぐきの炎症です。

歯と歯ぐきの境目にプラークが残っていると、細菌の影響によって歯ぐきが炎症を起こします。

すると、

  • 歯ぐきが赤くなる
  • 歯ぐきが腫れる
  • 歯みがきで血が出る
  • フロスや歯間ブラシで血がつく
  • 歯ぐきがブヨブヨする

などの変化が起こります。

歯肉炎の段階では、歯を支える骨などにはまだ大きな破壊が起きていない場合があります。

しかし、炎症が長く続くと歯周炎へ進行することがあります。

「血が出る=重度の歯周病」ではありません

ここも大切です。

歯ぐきから出血しているからといって、それだけで歯周病の進行度を判断することはできません。

歯周ポケットの深さ、BOP(プロービング時の出血)、歯の動揺、歯槽骨の状態などを確認する必要があります。


② 歯みがきの方法による歯ぐきへの刺激

歯ぐきから血が出ると、

「歯ブラシで傷つけたのかな?」

と思うこともあるでしょう。

実際、強い力で歯ぐきをこすったり、硬すぎる歯ブラシを使用したりすると、歯ぐきに傷がついて出血することがあります。

ただし、

「血が出た=歯ブラシで傷ついただけ」

と自己判断するのもおすすめできません。

プラークによる炎症があるために出血しやすくなっているところへ、歯ブラシの刺激が加わっている可能性もあるからです。


③ 歯石が付着している

歯石も、歯ぐきからの出血と関係します。

プラークが石灰化すると歯石になります。

歯石そのものが単純に「出血を起こす物質」というわけではありませんが、歯石が付着しているとプラークが残りやすくなり、歯ぐきの炎症をコントロールしにくくなります。

特に、

「毎日歯みがきしているのに、いつも同じ場所から血が出る」

という場合は、歯石や歯周ポケットなどを確認する必要があります。


④ 歯と歯の間にプラークが残っている

歯ブラシだけでは、歯と歯の間を十分に清掃できないことがあります。

そのため、

「歯みがきは毎日しているのに、フロスをすると血が出る」

ということがあります。

これは、フロスで歯ぐきを傷つけている場合もありますが、歯と歯の間の歯ぐきに炎症が起きているため出血している可能性もあります。

特に同じ場所から繰り返し出血する場合には、その部分のプラークや歯石、歯周ポケットの状態を確認することが大切です。


⑤ ホルモン変化などによって歯ぐきが炎症を起こしやすくなっている

歯ぐきの炎症は、プラークだけでなく、ホルモンの変化などによって悪化することがあります。

思春期、月経周期、妊娠、閉経期などでは、ホルモン環境の変化によって歯ぐきの炎症が強くなることがあります。

ただし、これは「ホルモンが原因で歯周病になる」という単純な話ではありません。

もともと存在するプラークによる炎症が、ホルモン環境の変化によって影響を受けることがあると考えるのが適切です。


⑥ 薬剤や全身の状態が関係していることもある

歯ぐきの出血や炎症には、薬剤や全身状態が関係することもあります。

例えば、一部の薬剤では歯肉の過形成が起こり、プラークがたまりやすくなって歯肉炎につながることがあります。

また、糖尿病などの全身疾患や、まれではありますが血液疾患などが歯ぐきの状態に影響することもあります。

そのため、

「最近急に歯ぐきから出血するようになった」

「口の中だけでなく、体のほかの部分でも出血しやすい」

などの場合には、口の中だけの問題と決めつけず、歯科医院で相談することが大切です。


「一度だけ血が出た」のと「毎回血が出る」のは違う

例えば、硬いものを食べた後などに歯ぐきが一時的に傷ついて出血することもあります。

しかし、

歯みがきするたびに血が出る

フロスをすると毎回同じ場所から血が出る

という場合は、歯ぐきに炎症がないか確認した方がよいでしょう。

日本歯周病学会も、歯みがき時の出血に気づいた場合は、早めの歯科受診を勧めています。


「血が出なくなった=歯ぐきが治った」ではない?

これも非常に重要です。

歯周病の患者さんから、

「以前は歯みがきすると血が出ていたけれど、最近は出なくなりました」

と言われることがあります。

しかし、出血がなくなったという一つの変化だけで、歯周病が改善したとは判断できません。

歯周病の状態を確認するには、

  • 歯周ポケットの深さ
  • BOP
  • プラークの付着状態
  • 歯の動揺
  • 歯槽骨の状態

などを総合的に確認する必要があります。

また、炎症があっても喫煙などの要因によって出血しにくくなる場合があるのです。

したがって、

「血が出なくなったから歯周病が治った」

とも、

「血が出ないから歯周病ではない」

とも言い切れません。


歯ぐきから血が出るなら、こんな症状もチェック

次の項目に当てはまるものはありませんか?

・□ 歯みがきすると血が出る

□ フロス・歯間ブラシで血が出る

□ 歯ぐきが赤い

□ 歯ぐきが腫れている

□ 歯ぐきがブヨブヨする

□ 口臭が気になる

□ 朝、口の中がネバネバする

□ 歯ぐきが下がってきた

□ 歯が長くなったように見える

□ 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい

□ 歯がグラグラする

□ 歯ぐきの腫れを繰り返している

□ しばらく歯周病検査を受けていない

一つだけで歯周病と判断することはできません。

しかし、出血に加えて複数の症状がある場合には、一度歯周病の状態を確認することをおすすめします。


歯周病かどうかは「血が出るか」だけでは分からない

では、歯科医院では何を確認するのでしょうか?

① 歯周ポケットの深さ

歯と歯ぐきの境目にある溝の深さを測ります。

歯周炎では、歯を支える組織の破壊に伴って歯周ポケットが形成され、深くなることがあります。


② BOP(プロービング時の出血)

歯周ポケットを測定した際に出血するかどうかを確認します。

普段の歯みがきで「血が出る・出ない」だけではなく、検査時の出血の有無も歯ぐきの炎症状態を評価する重要な情報になります。


③ プラーク・歯石の付着状態

どこにプラークが残っているのか、歯石がどの程度付着しているのかを確認します。

出血している場所とプラークがたまっている場所を照らし合わせることも重要です。


④ 歯の動揺

歯がグラグラしていないかを確認します。

歯周炎が進行すると歯を支える組織が失われ、歯の動揺がみられることがあります。


⑤ レントゲン検査

歯を支えている歯槽骨の状態を確認します。

歯ぐきの見た目だけでは分からない、歯を支える組織の変化を確認するために重要な検査です。歯周炎の評価では、歯周ポケットの測定とX線検査が用いられます。


歯ぐきから血が出たら、どうすればいい?

まず、「血が出るから歯みがきをやめる」というのはおすすめできません。

炎症の原因となるプラークを取り除くことは、歯ぐきの健康を維持するうえで重要です。歯肉炎では、適切な口腔清掃によって改善が期待できます。

ただし、強い力でゴシゴシ磨く必要もありません。

大切なのは、

「血が出る場所を避ける」のではなく、適切な方法でプラークを取り除くこと。

そして、

「なぜ血が出ているのか」を一度確認することです。


こんな場合は早めに歯科医院へ

特に次のような場合は、歯科医院でのチェックをおすすめします。

  • 歯みがきのたびに血が出る
  • 毎回同じ場所から出血する
  • 出血が長期間続いている
  • 歯ぐきが腫れている
  • 歯ぐきから膿が出る
  • 口臭が強くなってきた
  • 歯がグラグラする
  • 歯ぐきが下がってきた
  • 歯が長くなったように見える
  • 歯ぐきの腫れと出血を繰り返す

また、出血が非常に多い、なかなか止まらない、口の中の複数箇所から出血する、ほかの部位でも出血しやすいなどの場合は、歯周病だけが原因とは限らないため、早めに医療機関へ相談することが大切です。口腔内の出血には、歯肉炎以外にも出血傾向や全身疾患などが関係する場合があります。


武蔵小山で「歯ぐきから血が出る」方へ

歯ぐきから血が出るのに痛くない。

これは、決して珍しいことではありません。

むしろ、歯肉炎や歯周炎では、出血があるのに痛みがほとんどないことがあります。

そのため、

「痛くないから、まだ大丈夫」

と考えず、出血という変化を歯ぐきからのサインとして捉えることが大切です。

よしだ歯科クリニックでは、

  • 歯周ポケットの深さ
  • プロービング時の出血(BOP)
  • プラーク・歯石の付着状態
  • 歯の動揺
  • 歯槽骨の状態
  • 必要に応じたレントゲン検査

などを確認し、**「なぜ血が出ているのか」「歯周組織が現在どのような状態なのか」**を確認することを大切にしています。

歯周病の治療では、口の中の細菌をすべてなくすことを目標にするのではなく、歯周病に関わる細菌と炎症をコントロールし、歯を支える組織を健康な状態に維持していくことが重要です。

「歯みがきすると血が出るけれど、痛くないから放っている」

「以前から出血するけれど、いつものことだと思っている」

という方は、一度ご自身の歯ぐきの状態を確認してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者
よしだ歯科クリニック 院長 吉田浩一
東北大学歯学部卒

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